抗うつ剤の功罪:うつ病について考える004

当ブログの「うつ病について考える」では、うつ病(大うつ病や気分変調性障害)に的を絞って書いていきます。

今回も、またまた相当長いです。

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上の記事は、つい先日の朝日新聞の記事です。

抗うつ剤を簡単に出してしまうお医者さんが多いことを、日本うつ病学会もわかっているということが、この記事からうかがえます。

そして、よく「新型うつ病」と言われるものに関しては、抗うつ剤を処方するのはやめるべきとまで言っているようです。

病院では、主に患者さんの訴えを「DSM-検弊鎖西祿欧凌巴任氾計の手引き:第4版)」というガイドラインに照らし合せて、うつ病かどうかの診断を下しています。

ですが、新型うつ病と言われる症状の方は、あきらかにその基準から外れてしまっているということなんです。

しかし、そんな方にも抗うつ剤や、あるいは抗不安剤を安易に出してしまうお医者さんがたくさんいる、ということらしいです。

大うつ病の場合、もう本当に何もする気が無くなって、実際に身体を動かすのも億劫(おっくう)になってしまうはずなんですが、新型うつ病の方の場合は、特定の仕事や場面などで抑うつ症状が起こるけれども、それ以外の時には普通に生活も趣味もこなせてしまうので、それがDSM-犬隆霆爐箸楼磴Δ任靴腓Α△箸いΔ海箸覆鵑任垢諭

DSM-犬箸いΥ霆爐、ICD-10という基準か、何しろ国際的な基準があって、お医者さんはその基準を患者さんに出ている症状と照らし合わせて診断を確定することになっています。

その基準からすると、「新型うつ病」と言われているものは病気ではない、と日本うつ病学会が発表したということです。

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以上は新型うつ病の例ですが、一般的なうつ病の治療では、患者さんに出ているうつ病の症状に合わせて、どんどん薬を出してしまっているお医者さんがたくさんいるのが現状です。

中には精神科の勉強をしたことが無いお医者さんが、机と椅子だけで開業できる精神科を始めて、それで症状に合わせて、どんどん薬を出してしまっているというケースもあるそうです。

お医者さんには○○科というのを自由に決められる権限があるので、そんなことが起こってしまっています。

ちゃんと勉強してないから、症状に合わせてあの薬もこの薬もとどんどん出してしまい、患者さんは薬漬けになって、そこから抜け出すことができなくなってしまっている患者さんがすごく増えてしまっています。

気分が高揚する薬と、気分が落ち着く薬を一緒に出すなど、明らかにおかしいという場合も多々見られるということです。

そのような先生の出した薬を、大学の精神科の正しい抗うつ剤治療ができる先生に見せたところ、「この症状にこんな薬の出し方や量はおかしい」と言われて、見直してもらった薬に切り替えてみたら、薬の副作用が落ち着いた、というレポートを、ちょっと前のニュース番組で見たことがあります。

また、抗うつ剤や抗不安薬は飲んでいるうちに耐性ができてしまい、耐性とはつまり、少ない量では効かなくなってしまうことで、どんどん薬の量が増えていくことになってしまいます。
お酒を飲んでいるうちに、どんどん強くなっていくのと同じです。

薬での治療なんで、うつ病の症状が出ている間はずっと薬を飲み続けることになり、文字通り薬漬けになってしまいます。

抗うつ剤は副作用がきつい場合が多々あるので、薬による治療を止めたいと思って飲むのを止めると、今度はとても苦しい禁断症状(離脱症状と言います)が出てしまい、止めるに止められなくなってしまうというおまけつきです。お酒と同じです。

少しずつ減らせば離脱症状は出ないということになっていますが、そんなのは人それぞれで、少しでも減らしたら、身体のいたるところにコリや身の置き所がないほどゾワゾワ感が出たり、あるいはまったく寝ることができなくなったりなどの症状が起こります。

(この抗うつ剤(睡眠薬)を止めることでまったく眠れなくなる症状を、「反跳(はんちょう)性不眠」と言います。今まで薬で眠りについていたためか、薬がないといつまでたっても眠ることができなくなってしまう症状です。これがまた相当に苦しい症状です)

うつの症状も治らなければ、薬も止められなくなり、薬の影響で細かい作業や頭を使う作業もできなくなってしまいます。

やはりどう考えてもおかしい。

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今日放送されていたフジテレビのスーパーニュースで、「“うつ病治療"の影 危険な過剰投与・摂取やめられない“泥沼”」というタイトルの特集をやっていました。

北里大学病院の救急救命センターに、大量の抗うつ剤を飲んで自殺を図った方が運び込まれてくるシーンから始まりました。

最近、たくさん抗うつ剤や抗不安剤や睡眠薬などを処方されているうつ病の方が、数多く運ばれてくるようになったというんです。

また、患者さんを次から次へと診なくてはいけないことなどが原因で、お医者さん自身が「薬物“治療”依存」になってしまっている、と話している精神科医の先生も出ていました。

同じ先生の言葉だったかは忘れましたが、「うつ病は本来話を聞くのが主な治療で、薬は補助的に出すものだ」ということも言われていました。

夕方のニュース番組で、ここまではっきり警鐘が鳴らされるほど、うつ病治療の現状がままならない状態になっています。

読売新聞のホームページの「ヨミドクター」の「佐藤記者の「精神医療ルネサンス」」では、スーパーニュースよりもっと激しくこの問題に切り込んでいますね。よかったら検索して読んでみてください。

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 ○抗うつ剤治療も、確かに役に立ってはいますが、、、 


そんな抗うつ剤ですが、うつ病が世間に認識され始めて、うつ病の法的な救済制度ができたのは、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)のような、新しい世代の抗うつ剤が出てきたからではないかと、なんうん堂は考えています。

それまでの抗うつ剤に比べて副作用が少なくなって、より軽度のうつ病にも適応なので、お医者さんも薬が出しやすくなったんですね。

うつ病になってしまった方を一時的に助ける、現在唯一の方法でもあります。


うつ病になった方の多くは、ご自分の抱える状況に追い詰められて、ぎりぎり観念するところまで行ってから病院にかかる方が多いようです。

しかも病院で初めて自分が「うつ」であることを知る方も多いようです。

わけもわからず動くのが億劫(おっくう)でつらくなり、やっとうつ病だと原因がわかるだけでも、患者さんにとってはひとまず安心はできます。

ぎりぎりのところにいる患者さんを目の前にして、お医者さんはすぐに診断書を書いて、会社に対して患者さんの不利益にならないような、合法的な方法で休みが取れるようにしてくれます。

そして抗うつ剤を処方してくれて、ストレスでガチガチになった身体を、とりあえず休ませる機会を提供してくれます。

それで治る割合がもっと上がれば問題も少ないんですがねえ。

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抗うつ剤によるうつ病の治療は、早くて半年というのが相場です。

「治った」という場合について調べてみても、多くの場合は抗うつ剤を飲み続けながら日常生活を続けることができるようになったというだけで、根本的には治っておらず、お薬でコントロールできているよ、ということだったりします。

抗うつ剤ってある意味「睡眠薬」ですから、飲んでポワンとして、つらさに鈍感になるんではないでしょうか。
(抗うつ剤は、仮説に基づいた治療の薬ですが、なんうん堂は経験からそういう仮説を立てています。)

現在の医学ではうつ病の原因はまだわかっておらず、脳内の機能が原因であるという仮説をもとにした薬で治療ということになっているわけで、そして治るのに半年以上で、しかも薬を飲みながらうつ病をコントロールって、そんな仮説は一部の人にはあてはまっているかもしれませんが、ほとんどの人にはあまりあてはまってないですよ間違いなく。

それに再発もかなり多いですし。
人の身体なんて常に変化していますから、薬は変化に合わせて微調整をしないとすぐに合わなくなってしまいますよ。
メガネで視力を調節するのと同じで、メガネだって時間がたてば合わなくなってきます。

そして残念ながら、限られた期間内に仕事に復帰できるぐらいうつ病をコントロールできなかった患者さんは、仕方なく退職や廃業、学生さんなら退学することになってしまい、また、抗うつ剤を断つこともできなくなってしまったりもします。

抗うつ剤が、害ばかり多くて役に立ってないと言いたいわけではありません。

抗うつ剤中心の治療だけでうつ病を何とかしようというのは、やはり限界があると言いたいんです。

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先ほどの先生の「薬は治療の補助」で、抗うつ剤は主役では無いのだと思います。

それに、ガチガチになった首や肩、そして薬じゃ取れない胃腸の痛みや違和感を持った身体をまったく治療しないで、それで脳の神経の伝達物質の量を変える薬を飲んだだけでは、そりゃ治りっこないです。ポワンとした気分になって、苦しみをまぎらわせるだけです。

身体の治療もしましょうよ!というのが、このブログで言いたい事の一つです。

ストレスっていうと、たとえば胃腸に強く出れば、胃炎や腸炎が出るし、筋肉に出れば肩や首がこるし、いろいろなところがくたびれるのが普通です。

うつ病の判断基準通りのうつ病の患者さんの多くは、「まじめな性格」「几帳面な性格」で、働きすぎや身体を酷使し過ぎでストレスがちょっと休んだくらいでは回復しなくなった状態です。メランコリー親和型の性格というのでしょう。

病院での薬での治療では回復しなくなってしまった身体の疲れやこわばりのために「うつ病」にされてしまっている方が、どれほど多いことか。

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今回は、なんうん堂が把握しているうつ病治療の現状(と個人的な愚痴)でした。

タイトルの「抗うつ剤の功罪」というテーマからは、ずいぶんそれてしまったかもしれませんねえ、、、

ともあれ、まだまだこのテーマを続けます。

at 22:00, なんうん堂, うつ病について考える

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後鼻漏(こうびろう)について考える 016 漢方薬

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補足:すでに6年前の記事ですが、2016年8月に少し手を入れました。
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 今回のテーマは漢方薬です 

さて漢方薬での治療について書くと言ってから、またまた長いインターバルがあきました。

後鼻漏を漢方薬でどう治すか、ということで、この記事を読んで下さっている方は、後鼻漏には「○○湯」や「○○丸」「○○散」という漢方薬を飲めばいい、という情報を期待しているんではないかと思います。

後鼻漏の場合には、だいたい副鼻腔炎などでよく使われる漢方薬が使われがちなようですね。

もちろん「効かなかった」という声もよく聞かれます。

そうだと思います。

なぜなら、「この病気にはこの漢方薬」というやり方は、本来の漢方薬の使われ方、あるいは処方(しょほう)のされ方ではないからなんです。

「漢方薬は、病名ではなく、身体の状態や症状に合わせて処方されるもの」というのが、より正しい使われ方です。

この業界に身を置く者にとっては当たり前の話なんですが、今回は、漢方で治す後鼻漏についてではなく、もっと根本的な「漢方薬で後鼻漏やいろいろな病気を治すなら知っておくべき事」について、なんうん堂の考え、というか知っている事から書いていきます。

一番身近な漢方薬「葛根湯(かっこんとう)」を通して、漢方薬について説明しようと思います。

今回は今までに増して長文です!

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 ・ 身近な漢方薬 「葛根湯」 ・ 
漢方薬で一番売れているのが「葛根湯(かっこんとう)」であるようでして、確かに一番身近な漢方薬だと思います。

司馬遼太郎が幕末の偉人である大村益次郎について書いた作品「花神」にも、益次郎(当時は村田蔵六)が、山口の鋳銭司村で医師をやっていた頃、先代の頃には誰にでも出していた葛根湯を出さなかったので、医師としての評判が良くなかったというエピソードが描かれていました。

江戸時代は誰でも医者になれたので藪(やぶ)医者も多かったんですが、来た患者がどうゆう状態だったり、どうゆう病気かわからなくても、とりあえず葛根湯を出せば、患者は診察してもらったという安心感があるんですね。

ポラセボ効果(偽薬効果:「これは薬だ」と言って患者さんに飲ませると、ただのアメ玉でも効いてしまうことがあるという事。暗示ですね)もあるでしょうし、葛根湯は数回飲んだくらいでは特に副作用も出ないので、それで成立した慣習なんだと思います。
(益次郎の父親が藪医者だったかどうかはわかりません。)

落語で「葛根湯医者」というのがあるそうで、来る患者すべてに葛根湯を出して、ついには患者さんの付き添いにまで葛根湯をすすめるという内容の話です。

落語にまでネタにされるぐらい、葛根湯は昔から何かと言えば出されていた薬であったようです。

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 ・ 葛根湯は本当に風邪に効くのか? ・ 
さてこの「葛根湯」。

はたして風邪に効くのでしょうか?

葛根湯を使ってみた方も多い事と思いますが、使ったことがある方は、どうでしたか?

もちろん常備薬として愛用している方も大勢いらっしゃるわけですが、使ってはみたものの、意外と効果を感じられなくて、使わないまま家に残ってしまっているという方も少なからずいらっしゃるのではないでしょうか?

結論を言えば、葛根湯は「風邪に効く」という漢方薬ではないんです。

「じゃなんで『風邪には葛根湯』と言って、ドラッグストアなどでたくさん売られているの?」
ということになります当然。

それは葛根湯が、「風邪の初期にありがちな身体の症状を治す働き」がある漢方薬の処方であるからなんです。

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 ・ 葛根湯が治す身体の症状 ・ 
葛根湯が処方される身体の症状を具体的に言うと、
 
 ・ 病気がまだ身体の浅いところにあって 
 ・ 首や肩がこわばって 
 ・ 汗が出ず 
 ・ 寒気がする 

という症状を治すのが葛根湯です。

この症状は、風邪の引き始めにありがちな症状なんで、それで風邪に葛根湯が使われるわけです。

「病気が身体の浅いところにある」、というのは、「病気の初期」の事ぐらいにお考えください。

これらの事は、漢方薬での治療の原点になっている古典に書かれています。

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 ・ 漢方薬の正しい使い方 ・ 
漢方薬はこのように、

『身体の状態に合わせて』処方されるが、正しい使われ方です。

ちなみに、「身体の状態」とは、東洋医学的に診た身体の状態です。

脈や舌やお腹も診たりします。

というわけで、「葛根湯は風邪に効く」というより、『風邪の初期にありがちないくつかの症状が、葛根湯で治せる』、というのが正しい解釈となります。

風邪の引き始めではなかったり、首や肩のあたりがこわばっていなかったり、汗が出ていたり、寒気がしなかったりする場合に葛根湯を飲んでも、もともとそういう症状に効くような生薬の配合ではないので、それで効いた気がしない、ということになるわけです。

また葛根湯は、風邪ではなくても、肩や首のこり感があったり、頭痛や鼻の症状やじんましんなどの「症状」がある場合にも使われる事があります。

「病名」ではなく「症状」なんですね。

鍼灸師の得意技である「肩こり」などは誰でもある症状なので、先ほどの「誰にでも葛根湯」は、そういう意味でも「何だか身体が楽になった」と思わせる事ができるんで、都合がいいわけだったんでしょう。

では同じ風邪でも症状が違う場合、例えば、

「風邪の引き始めで首や肩のあたりもつらいし寒気もするけれど、汗は出る」

という状態の場合はというと、こういう時は「桂枝加葛根湯(けいしかかっこんとう)」という葛根湯に桂枝(けいし:平たく言うとシナモンのこと)を加えたものを使ったりしますし、「乾いた咳が出る」などという場合は、「麦門冬湯」などといった処方の漢方薬を使ったりします。

このように、漢方薬は、

『身体にあらわれた症状を治すもの』

で、患者さんの症状や病気の経過に合わせて、成分の生薬を増減させたり取り去ったり加えたりして、より患者さんの症状に合わせたものを出すものなんです。

実のところ、一般的な西洋医学の風邪薬も症状にあわせて使い分けるんですが、本来まったくのオーダーメイド治療である漢方薬にくらべると、西洋医学の薬はもっと大雑把(おおざっぱ)で、それに効果も副作用も大雑把に現れます。

鼻づまりは強力に治ったけれど、ノドが渇いて血圧が上がったという具合です。


患者さん一人ひとりの細かい症状に応じて施術する、と言うやり方は、同じ東洋医学である鍼灸も同様です。

東洋医学は患者さん一人ひとりの細かい症状に合わせて治療するまったくのオーダーメイド医療です。
よく勉強した東洋医学の施術家(医師、薬剤師、鍼灸師等)が、患者さんの症状に合わせて正しく処方や施術をした時の効き目の素晴らしさや副作用の少なさは、西洋医学の比ではありません。

この『東洋医学は患者さん一人ひとりの症状に合わせて施される』ということが一般の方に知られていないために、効いたり効かなかったりということが起こるわけです。

断言しますが、葛根湯は、「葛根湯が効く症状」がある時に服用すれば、それはもうガッツリと効いて、たちどころに楽になります。

ちなみに、葛根湯が効く病気というか症状は「葛根湯証(かっこんとうしょう)」と言います。ざっくり言うと「葛根湯が効く症状」という意味です。

葛根湯は風邪に効く、のではなく、「葛根湯証に効く」というわけです。桂枝加葛根湯が効く症状なら「桂枝加葛根湯証」と言うわけです。

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 ・ 漢方薬治療をするなら ・ 
と、このように、「漢方薬で病気を治す」としたら、
というよりも、『漢方薬をきっちり効かせたい』なら、

『患者さんの身体全体の症状を東洋医学的に診察して、一番効きそうな組み合わせの漢方薬に、加えたり取り去ったり増やしたり減らしたりしたものを使う』のが良いわけなんです。

このやり方、残念ながら、クリニックや病院などで、保険を使ってお医者さんにやってもらおうとしても、なかなかできないやり方なんです。

保険を使った治療では、どの患者さんにも、分量が決まったパックされた漢方薬が出されるわけですからね。イージーオーダー医療どころか、レディメイド医療、つまり、でき合いの服を買う場合のように、袖の長さはピッタリだけど、首まわりがきつくて苦しいというような事が起こってしまうわけです。

それに、漢方薬はもともと生薬を刻んで煮詰めた物(煎じ薬:せんじぐすり)を飲むものなんですが、現在はその煎じた物をフリーズドライにした、「エキス剤」が主流となっています。

がしかし、「煎じた物を飲む」というやり方で長いあいだ試行錯誤されてきたので、やはり煎じた物を服用するという本来のやり方をした方が、効き目が良い場合が多かったりもします。

(もちろんエキス剤でも、症状が合っていればしっかり効きますし、一般的な病気で漢方薬を処方してもらう場合でも、症状が少々合って無くてもまったく効かないわけではありません。

このカテゴリのテーマである「後鼻漏」は、なかなか治らない上に、お医者さんにかかってもほとんどの場合に「気のせいだから気にするな」と相手にしてくれないものなので、それで少しでも効果が出るような漢方薬治療について書いていますので、ご注意ください。)

そして、保険で薬を処方できるのはお医者さんだけですが、お医者さんは東洋医学を勉強してない先生がほとんどで、また、たくさん押し寄せる患者さんに対応したり、業務が広範なために、東洋医学的な細かい診察をしている時間が無いのが現状です。

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 ・ オススメは漢方薬局 ・ 
その人その人に合わせた漢方薬を出してもらおうと思ったら、実は巷(ちまた)の漢方を良く勉強した漢方薬局の薬剤師さんに処方してもらうのが一番手っ取り早いやり方なんです。

煎じ薬まで作ってくれる薬剤師の先生も、もちろんいらっしゃいます。

薬剤師さんのようにやってくださるお医者さんに漢方薬を正しく処方してもらえば良さそうなもんですが、この場合薬剤師さんでもお医者さんでも、やってくれる事はほぼ同じです。
(「ほぼ」というのは、お医者さんだけに許された権限で加えることができる薬(西洋医学の薬など)を使ったり、診察の仕方などの点が違ったりします。)

生薬、あるいはエキス剤を、患者さんの細かい症状に合わせて組み合わせて漢方薬を処方する、という事については、薬剤師さんもお医者さんにも違いはありません。そこまでやってくださるようなお医者さんは、薬剤師の先生と一緒に勉強していらっしゃる方もいます。

お医者さんにもよく勉強していらっしゃる、本当に数少ない尊い先生がいらっしゃいますが、やはり保険ではこういう漢方薬の出し方ができないので、漢方薬をきっちり効かせようとするなら、長い間に培われて(つちかわれて)きた、本来の漢方薬の使われ方でないと、効果があいまいになってしまいがちなのは、当然と言えば当然ですよね。

もちろん、漢方薬治療を本来のやり方でやっていらっしゃるお医者さんはいるにはいますが、本当に少数なので、やはりよく勉強していらっしゃる漢方薬局の薬剤師の先生を探すのが一般的であると、なんうん堂は考えます。

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 ・ 正しい理解でより良い治療効果 ・ 
というわけで今回のポイントは、
『漢方薬で病気治療をするなら、本来のやり方が最も効果的』
という事です。

後鼻漏も同様です。

同じような症状でも、正しい東洋医学的な診察をすると、身体の様子がまったく違うなんてのはいくらでもあります。というか、人それぞれなんです。

鼻だけでなく、身体全体の様子も診察します。

そこまでやって初めて処方を決めて、そしてより効くように、成分の生薬の分量を増減したり、加えたり取り除いたりします。

そして、患者さんの体調の変化や効き具合に合わせて、また増やしたり減らしたり取り除いたり加えたりして、どんどん調整して行きます。

漢方薬での治療も鍼灸での治療と同じです。

患者さんはいらっしゃるたびに、いわゆる「ツボ」の位置も体調も反応もどんどん変わっていきますので、それに合わせてあるいは微妙に、あるいは大胆に施術のやり方を変えていきます。

鍼灸も漢方薬も、東洋医学というものは、この薬が効く、このツボが効く、というのではなく、

『それぞれの症状や状態に合わせたやり方を見出して、施術や処方を効かせる』

のが本来の東洋医学であると、少なくともなんうん堂はそう考えて施術しています。

漢方薬も鍼灸も万全ではありませんし、そういう意味ではお医者さんだって万全では無いですが、本当に正しくしっかりと施術すれば、だいたいの患者さんは、最低でも、症状が軽くなります。軽くすることができます。

後鼻漏に限らず、いろいろな病気治療に漢方薬を試してみたいと考えている方がいらっしゃいましたら、このような漢方薬の特徴を良く知った上で治療家を探してください。

また、この点は重要なんですが、漢方薬でも鍼灸でも、オーダーメイド治療である東洋医学は、施術家の先生の個性や考え方によってまったく違ってきます。

なので、いろいろな先生にあたってみて、ご自分に合った先生を探してください。

そして、『病気を治す事と、気持ちがいい事とは別』であるという事にもご注意下さい。
(気持ちいいだけで、治らない場合がたくさんある、という意味です。
気持ちよくて、治りもする治療法を選びましょうと言いたいんです。)

一般の患者さんはやはり医療情報が少ないので、気持ちの良い応対や施術をする先生に行ってしまいがちです

また逆に、これは鍼灸では特にありがちですが、痛い治療法だから効くというわけでもありません

患者さんとしては、「やってもらった感じ」があって納得してしまうのかもしれませんが、痛い鍼だから効くとか、熱いお灸だから効く、というものではありません。なんうん堂はよっぽどのことが無いとそういうやり方はしませんが、それでも効果を出しています。

わからないことは良く質問してみるといいです。
理不尽な質問では無いのに怒り出したり、黙り込んだりする施術家や、来院させるように仕向ける言葉を言う先生は、やはりそれなりの人なんではないでしょうか。

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とまあ長くなりましたが、漢方薬についての説明は、これくらいにさせていただきます。


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今回は一段と長くなりました。

今回のエントリには、ずいぶん時間と手間をかけました。

ここまで読んでくださる人も、まあそれほどいない事でしょう。

でも、基本的な大切な情報なんで、届く方にはきっと役に立つと思います。


なんうん堂もこういう業界に身を置く者なので、洋の東西を問わず、医療情報は常に勉強していまして、漢方薬だけでなく、もちろん西洋薬の勉強していますが、やはりメインは鍼灸なので、「この部分はいかがなものか、、、」というところもあると思います。

また、平易に書いたつもりですが、わかりづらい部分もあると思います。

というわけで、ツッコミや質問がありましたら、遠慮なくしてください。
謙虚に勉強させていただきたいと存じます。

※ ところで、鍼灸師であるなんうん堂がここまで漢方薬局をすすめるというのは、「こいつはきっと金でももらっているんだろう」とも思われそうなものなんですが、身体を直接治療する鍼灸と、服用するだけで身体はいじらない漢方薬とでは、おのずと特徴や効果や違いますし、またそれぞれものすごく奥深いものなので、きっちりとした漢方薬治療は漢方薬の専門家にまかす方が、患者さんにとってはいいと思っていますので、それでここまで書いています。

それに、鍼灸も漢方薬も同じ東洋医学なので、両方一緒にやっていた人ももちろんいなかったわけでは無いのですが、いろいろな理由があって、両方ともがっつりやったという人は、歴史的にもほとんどいなかったんです。むしろ住み分けされているんです。

鍼灸の治療は、狙ったところの気血の流れを良くする事と即効性のある治療が出来ますので、漢方薬治療を受けるのと同時に当院に来ていただければやれば、治療効果は格段に上がります。

鍼灸治療だけ、あるいは漢方薬治療だけでやっていらして、効果がいまいちだと感じている方は、ぜひ両方同時にかかられることをお勧めします。

と、ちょっとだけお知らせさせていただきます。(^_^;)
 

at 15:00, なんうん堂, 後鼻漏(こうびろう)について考える

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情報が豊かになればなるほど、枝葉が繁り、幹は見えなくなってくる:うつ病について考える003

当ブログの「うつ病について考える」では、うつ病(大うつ病や気分変調性障害)に的を絞って書いていきます。

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○ 情報が豊かになればなるほど ○
○ 枝葉が繁り、幹は見えなくなってくる ○


うつ病について考えるのになんでこんな格言が出てくるのかと、このブログを読んでくれている方は不思議に思うことでしょう。

この言葉はドラッカーの言葉です。

ベストセラーになった「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」のドラッカーです。

なんでこんな言葉を引っ張り出したかというと、現在の抗うつ剤によるうつ病治療の現状が、まさにこの言葉にあてはまっているんではないかと思ったからなんです。


抗うつ剤は、うつ病が脳内の神経伝達物質が減っていることが原因だという「仮説」をもとに使われていて、世代の新しい抗うつ剤であるほど、副作用が少なくなるなどより研究され、進化しているんですが、抗うつ剤の研究や進化という枝葉が繁(しげ)りに繁ってしまい、もともとの幹が仮説であることが見えなくなってきてしまっている、と思えるんですよ。


この分野の専門家の方からすれば、なんうん堂のこの意見は「ど素人が笑わせるな」と思うことでしょう。
そもそも抗うつ剤とうまく付き合いながら、普通に生活できている方もたくさんいらっしゃいますし。

仮説ではなく本説がまだわからない以上、わかっている方法で、今まさに苦しんでいらっしゃるうつ病の患者さんを助けないといけないですから、抗うつ剤治療は仕方ないことではあるんですが、しかし、抗うつ薬を使って治療をしている医師の中に、抗うつ剤ではうつ病は治らない、と公言している方が、もう何年も前から少なからず出てきています。

治療に抗うつ剤を使わないお医者さんすらいらっしゃるようです。


また、副作用が少なくなったと言っても、抗うつ剤は依存性があったり、やめたときの離脱症状(禁断症状)が激しかったり、いろいろな自律神経症状が出たり、マイナートランキライザー系の薬であるためか普段眠くなってしまったり、使っているうちに効かなくなってきてどんどん量や種類がふえていったり、お酒と一緒に服用してしまってひどい事になる場合もあったり、と、数々のシリアスな危険性があるものなので、そういう意味での批判も多くなってきていますね。

NHKスペシャルで、「うつ病治療 常識が変わる」という番組も組まれましたが、医療業界の事情や都合もいろいろある、ということも、知っている人はすでに知っていることですね。

この医療業界の事情などというのも、これまた「繁りに繁った枝葉の一部」だと思います。

この番組は本にされていますので、興味がある方はお読みになるといいと思います。
アマゾンでこの本の目次を見ることができます。

   NHKスペシャル うつ病治療 常識が変わる

ちなみにこの本が出たのが2009年の9月で、現在が2012年の6月です。
世間の一般の人たちのうつ病に対する認識は少しずつふかまっているようですが、うつ病の治療法に関しては、本説がまだ見つかっていないためか、あまり変わってはいないようです。

、、、なんうん堂はずいぶんたくさんの本や情報にあたって調べてみましたが、やはりうつ病治療で抗うつ剤で脳や神経だけをいろいろやるだけでは、本当にうつ病をなんとかする治療にはならないと思っています。まあ鍼灸師としての経験や目線もあってのそう思っているわけですが。

だらだらと続きます。

at 01:00, なんうん堂, うつ病について考える

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