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後鼻漏(こうびろう)について考える 015

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補足:すでに6年前の記事ですが、2016年8月に少し手を入れました。

補足:2017年11月、ご指摘を受けまして、ムチンの説明の一部を、打ち消し線にいたしました。
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相変わらず考えたことを、長い文章でだらだら書き付けます。

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花粉の季節でして、なんうん堂もいろいろ対策しているわけです。

花粉症を治すことはできないまでも、私も診療家なんで、いろいろやって非常に軽くしています。

この症状は鼻の症状の一つなんで、もちろん後鼻漏につながる部分もあります。

で対策の一つとして鼻綿棒もやるわけですが、書こうと思って書いてなかった大切な事を一つ思い出しまして、それを書こうかと思います。

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鼻水の成分についてはいろいろ書きましたが、後鼻漏を語るにあたって、こいつははずしちゃダメだろう、というのがありました。

『ムチン』という成分です。

透明な粘り気のある成分です。
人の身体の中にはいたるところから分泌されていますし、普段食べている物の中にもあります。

オクラ、昆布、納豆、なめこ、粘り気のあるいろいろな物はムチンです。
※注:
どうやら、おおよその植物由来のネバネバに関しましては、ムチンとは違うということです。
このエントリを書いた時点のウキペディアのムチンの説明では、「ムチンを含む食品」との説明がありまして、一般的な認識としてそのようにあったと言えるわけですが、私の認識もそうでした。
この件に科学的な論争があるのかないのかわかりませんが、一応消し線にて対応させていただきます。

直接食べはしませんが、うなぎのネバネバしたのもムチンです。

海の厄介者であるエチゼンクラゲの利用法として、エチゼンクラゲからムチンを取り出して、それを何かに使おうというアイデアがあったりもします。
ヒアルロン酸と一緒に膝の関節包の中に注入すると、膝の病気の治りが早くなる、とかですね。


この「ムチン」、鼻水の成分の一つでもあるし、胃の粘膜を胃酸から保護する成分でもあります。身体のいろいろなところから分泌されていて、いろいろなところで役に立っています。

鼻の粘膜に対しては、うるおいを保ち、ついでに鼻水の中にある成分が、流れてしまわないようにする効果もあります。


後鼻漏で問題になるのは鼻水の量と粘り気で、色の付いた鼻水は膿だったりしますが、透明な鼻水で粘りの強いやつがたくさんでてきているというのは、これはちっと意味が違ってくるわけです。


鼻水には、鼻の中に入ってきた異物や菌などを洗い流す役割もありますが、リゾチームやある種の白血球のような菌をやっつけてしまうような成分も入っていて、そいつがちゃんと粘膜にとどまるようにしているんですね。

しかも鼻の中では肺を痛めないよう吸った息に湿気を与えるために、鼻水がどんどん蒸発していますから、鼻水が胃に行く前にある程度鼻の粘膜にとどまるようにしています。

鼻の中に炎症があったりすると、鼻の粘膜の炎症しているところの保護や殺菌のために、ムチンが多く出るわけです。
風邪でノドが腫れたのと同じです。


後鼻漏では、鼻漏の量と粘り気が問題になりますが、粘り気にかんしては、「去痰剤(きょたんざい)」、つまり普通の風邪薬に入っている「タンの切れを良くする薬」で、粘り気が下がります。

まあうまく効けばの話ですが、、、

「システイン」という成分が代表的なもので、これがムチンを分解して粘り気を弱めてサラサラ流れるようにします。市販されている一般医薬品には、メチルシステインとかエチルシステインとかカルボシステインなどと書かれています。

同じような作用をする成分は、他にもグアヤコール(←初めて見る言葉でしょ)などがあります。


鼻の中からは普通の人でも副鼻腔とあわせて1日6リットルの鼻汁が出て、無意識のうちにほとんどを飲み込んでいるわけで、後鼻漏特有の粘り気を感じない鼻水だったら、後鼻漏などは感じないはずです。

生理学的な理屈で考えたらですけれどね。
でも人の身体の機能で、生理学的にわかっていることなんて、まだあまりにも少なすぎるんです。
現代医学では、そのわかっている少ない事実だけを組み合わせて医療をしています。

もちろんわかっている事実はものすごく重要な事実ではあるんですが、、、患者さん一人ひとりに時間をかけて丁寧にオーダーメイド治療をする東洋医学から比べると、何しろバランスが悪いです。

なので「がん」を治すのに抗がん剤を使って、がんは小さくなったけれど、がん以外のところも弱ってしまうような治療もあるわけです。

生理学の教科書に出ている事も、実はずいぶん昔の人の研究結果を、調べもせずに孫引きして使っていることが、まだあったりします。
「舌は、酸っぱい・にがい・甘い・辛いなど、味によって感じる部分が違う」ということは、これはたぶん中学や高校の生物の教科書にも出ていると思うんですが、最近調べて人がいて、間違っていることがわかっています。味覚分布地図といいます。

これは、100年以上前のずいぶん古い研究が元ネタになっているそうです。


、、、まあ、それはさておきまして、、、

この去痰剤を使えば、理屈から言えば、鼻水の粘り気が気になるタイプの人の後鼻漏の場合、不快感を感じなくなるはずですよねえ。

去痰剤はノドから出ている痰を切れやすくするわけで、鼻水の粘り気もノドの痰の粘り気もムチンによるものがありますから、去痰剤で鼻水の粘り気が弱くなる可能性があるわけです。

タンパク質を分解するので、鼻水のムチン以外のタンパク質の成分の粘り気も弱くなるかもしれません。

試してみる価値はあると思います。


でもまあ西洋医学の薬は抗がん剤と同じで、長いこと飲み続けるのはやはり良いとは思われないし、塩酸ブロムヘキシン(←また見たことの無いような面倒くさい言葉が、、、)が入った薬だと、鼻水の量が増える可能性もあるし、気をつけねばいけません。

特に気をつけていただきたいのは、『コデイン』という成分が入っているものです。

これはなんと麻薬でして、作用は弱いんですが、止められなくなる場合があるんです。ざっくり言うと、弱いモルヒネです。

止められなくなるというのは薬物依存ですね。依存状態になれば、禁断症状も出ます。退薬症状と言ったりします。

このコデインですが、複数の成分が入っている薬の中に、去痰成分ではなく咳止め成分として入っています。

一時的な咳止めで短期間服用する分にはいいんですが、長いこと止められなくなる人もいて、ドラッグストアなどではあまりコデイン入りの薬を買い続けると、吉野屋で「大盛りねぎだくギョク」を注文するのと同じように店員さんにマークされてしまいます。

後鼻漏に去痰剤を試してみようとして薬物中毒になってしまわれては大変なので一応書きましたが、まあ普通はそんなことはなかなか起こらないと思います。

ちなみに以前聞いた話で、禁煙しようと思って禁煙パイポを使ってみたら、タバコも止められなかったけれどパイポも止められなくなったというのがありまして、それを思い出しました。


もし試してみようという方がいましたら、薬の成分をよく調べてからやってみてください。売られている薬の目的が総合感冒薬とか咳止めとか去痰とか、後鼻漏が目的ではないので、まあドラッグストアや薬局の方によく相談しながら試してみてください。

試してみて効いた方は、お医者さんにかかってそのことを言って、保険でお薬を処方してもらうといいと思います。


で、ここまで書いておいてなんですが、なんうん堂は特に去痰剤を飲んでみようとは思いません。

風邪薬もそうですが、西洋医学のお薬は一時的に症状を抑えるだけのものなので、病気の原因となる部分を何とかするものではないし、やはりバランスがわるいんですね。

そもそも自分でいろいろやってほとんど症状はおさまっていますし、、、

ですが、鍼灸とおなじ東洋医学の「漢方薬」に関しては、西洋医学の薬とはかなり違っていまして、万が一ひどくなるようなことがあったらやってみようと思っています。


漢方薬、、、これについてはお医者さんでさえも正しく理解して使えている先生がほとんどいません。

漢方薬についても(いつになるかわかりませんが、)近いうちに書きます。

 

at 13:00, なんうん堂, 後鼻漏(こうびろう)について考える

comments(2), -, - -

comment
ゆきんこ, 2012/07/22 4:06 AM

はじめまして。後鼻漏で悩まされて7年になります。後鼻漏について検索してましたらこちらの14の記事にたどり着き、15も詠みました。大変興味深いので是非漢方についても読みたいです。
私の場合ですが、耳鼻科や内科もたくさん行って診てもらいましたが、

後鼻漏だと思うのですが、と自己申告しても
どこに行っても首をかしげられる始末で(分からないみたいで)
本当に困りはててます。
出された薬もどれも効かず、

最近では先月あたりから咳が出るようになり、咳が酷くなってきてしまいました。
辛いので来週またかかりつけの内科に行って話して大きな病院を紹介してもらって行ってみようかな?と
考えております。

ちなみに私は女なのですが、まだ30前でこれを患い、どこに行くにもティッシュが手放せなくて
人目を気にしながら頻繁にティッシュに痰をだしてる毎日です(トホホ…、、を通りこして正直辛い、です)
ちなみに私の場合、職場のストレスで心を病み、自律神経失調症になり、それから気が付いたら鼻汁が落ちるようになって
ひどくなっていった気がします。(それまでは無かったので)

ただ、もしかしたらそれだけではないかもですが、
他は原因がよくわからない状態です(細菌検査、アレルギー検査も異常なしでした)
お医者さんがあてにならないので、
とりあえずもしも自律神経からのだとしたらと考えて、自分でできる事はないかと考えた結果、
睡眠不足(昼夜逆転)・カロリー摂り過ぎ・運動不足を改善はやってみています。(なにもしないのも不安なのです…泣)

お医者さんにも気のせいなんじゃ?ってフレーズ私も言われました(笑)

気のせいじゃないですよ〜(怒)と内心思ってしまいます。

もっと後鼻漏についての認識が高まる世の中になって欲しいと、いつも切に願ってます。

これからも記事アップされたら是非興味深く読みたいと思ってます。

長文失礼致しました。

なんうん堂, 2012/07/23 12:33 PM

ゆきんこ様
コメントありがとうございます。

お医者さんの対応も含めて、後鼻漏独特の症状をたどっていらっしゃるようですね。
心中お察し申し上げます。

ストレスが自律神経の働きを乱して免疫力を下げてしまい、それが鼻にもきているのでは、ということですね。

自律神経失調症というのは、お医者さんで確定診断されたのでしょうか?
だとしたら、ほかにもいろいろな自律神経の乱れから来る症状が出ていらっしゃるのではないでしょうか?

もし主だった症状が鼻だけだとしたら、もしかすると原因は自律神経ではないかもしれません。

でも少なくとも、昼夜逆転が出ていらっしゃるんですよねえ、、、

東洋医学的なアプローチでは、身体全体のバランスを調整して免疫力を元に戻します。
鼻だけでなく他の症状も同時に治っていきますので、ぜひ東洋医学的な治療もあわせて受けてみてください。
(ついでに全身の自律神経症状でしたら鍼灸の得意分野ですので、よろしければおかかりになってくださいな)

漢方も東洋医学で、身体全体を診てお薬を決めますが、本当の漢方は残念ながら一般的な病院では受けられません。

漢方についてブログで書くときは、まずはそこら辺の事情を中心に書いていく予定です。


漢方について軽く書いておくと、漢方は病名では無く「証(しょう)」で薬を選びます。
本当に漢方での治療をしようとすると、漢方を専門に勉強して実践しているお医者さんか薬剤師にかからないと、効果が出たり出なかったりします。

たとえば一番売れている漢方薬の「葛根湯(かっこんとう)」ですが、風邪だから葛根湯、ではなく、これこれこういう症状(証)だから葛根湯、となります。

証がバッチリだと、効果がテキメンです。

葛根湯で治る症状を「葛根湯証」と言いますが、つまり葛根湯で治る症状の時に葛根湯を飲むと、一気に症状が良くなります。

そこら辺が漢方薬治療で一番大切な部分なんですが、それが世間にはぜんぜん伝わっていないんで、そこから書いていこうと思っています。


しかしながら、ゆきんこ様もすぐにでも鼻の症状をなんとかなさりたいわけですよね。

漢方の治療をうけるということでしたら、漢方の勉強を専門にしているお医者さんか薬剤師の先生に相談するのがいいということと、できれば一人の先生ではなく数人の先生に相談してみて、ご自分にあった先生を探されるのがいいですよ。
これは鍼灸でも同様です。

なにはともあれ、おだいじどうぞ。